夜行バスの旅

目的地は穴場のスキー場。
ありがちな学生旅行、安い夜行バスはありがたかった。
となりには「車派」の彼氏。後ろに友達4人が乗っていた。
彼氏は夜行バスの乗り心地の悪さにぶつぶつ言ってばっかり。
ムラヤマはバスに乗ることが珍しかったので、きょろきょろしていろいろ観察していた。
消灯の時間になって、毛布を借りてかけた。だんだん寒くなっていた。スキー場に向かっているのだから当たり前だけど。
友達たちはすぐに眠って、となりの彼氏も寝て、ムラヤマはカーテンを少しあけて、曇ったガラスを見ていた。
そうして3時間ほどすぎたとき。バスが急停車した。みんな起きた。となりの彼氏は寝てたけど。
いやな予感がした。乗務員は運転席に集まっている。かすかにタイヤの空転する音がした。ムラヤマは窓を拭いて外を見た。
真夜中、街灯もないからはっきりとは見えなかったけど、暗い中にさらに暗い崖がみえた。ガードレールすらない。雪が発光しているように見えた。
どうやら車はカーブに失敗しこのままだと内側をまわる後輪が崖に落ちる、運転手はバックを試みているが雪でタイヤが空転し車が動かない、そういう状況らしかった。
車内が騒がしくなってきた。彼氏がまだ寝ていたので起こして、事情を説明してあげた。彼氏はふーんといい、落ちるときは落ちるよ、だからひざまくらで寝かせて、とまた寝てしまった。
それもそうだ、と思い、私も騒がしい中寝てしまった。
目が覚めたらもうスキー場で、大変だったんだよ、寝てたなら知らないだろうけど、目を赤くして友達が騒いでいた。ぴゅー、とムラヤマは空を見た。神は生きよとおっしゃった、なんてね。