闇は暁を求めて

旅の最後にいつも求める事はなんだろうか?
ムラヤマの旅には目的がある場合と特に無い場合がある。
東京~青森行きの夜行バスの中、夢の中で彼は救急車のサイレンがこだましていた。
どんな思いで兄が最期を迎えたのか。やはり苦しかったのか。もう少し生きたかっただろうに違いない。
ふと気がつくと涙を流しながら寝ていた。誰かに見られたかと思って急いで涙を拭った。
隣のDVDの女性はそのまま寝てしまったらしく、イヤホンをしたままだ。
時計を見ると朝の4時過ぎ。 ムラヤマが兄の死の現実をじわじわと味わい始めた瞬間でもあった。
人が亡くなると亡くなったばかりの時はあんまり実感がなくてそれほど悲しくないものかもしれない。 確かに葬儀だなんだと“後の事”に追われていて忙しくしているからなんともないかもしれない。 泣いてる場合じゃないから。
だけどしばらく経って落ち着くともう兄がいない事をこれから散々と思い知らされるのだ。
ふざけているわけではないけどふと“悲しみよこんにちは”という本のタイトルが思い出された。
ムラヤマは夜明け前の真っ暗な空を凝視していた。
夜明けが近い程、闇は濃いのだ。暁を求めてひたすら空を眺めていた。